山本ゆうごブログ

山本ゆうごの仕事メモ

Web系のツヨミとツラミ

別のブログで、SIerのツヨミとツラミを書いた。 SIerのツラミとツヨミ - 山本ゆうごブログ

ここではWeb系エンジニアのツヨミとツラミを書く。

「SIerからWeb系への転職」というようなワードをみる。まるで良いことのように語られる。

定義は曖昧だがWeb系とはこういう業態のことを指していると思う。

  • 開発したシステムを納品するのではなく、自社でそのシステムを運用する
  • システムはWebサイトが多く、使用料とか広告モデルとか稼ぐ
  • サービス育成にあわせて常にシステムはブラッシュアップする

Web系のツヨミ

合理的につくれる

SIerのツラミは、変な仕様でも仕様に従って作らねばならないというのがある。ところがWeb系は自社でのビジネスはきまっているが、作り方は「最も合理的な方法」をとるしかないので、クラウドを使った仕組みなど合理性優先で構築できる。

開発効率という観点でも合理的に作ることができる。テストも自動化しちゃえる。

自分で事業を作ってる感がある

ソーシャルゲームをつくるエンジニアは、まさにゲームビジネスの中の人だ。自分がリリースしたガチャがどれくらい稼いでいるかを肌感覚で掴める。

システムの育成に立ち会える

受託で作ると構築した人と保守する人は別れることが多い。しかしWeb系は自社ですぐそこで動き続けるので、構築メンバーと育成メンバーはあまり変わらない。

(場合によっては) 会社の価値の向上が自分の資産になる

もはやエンジニアとしてではなく、「株主として」という話になるが、自分でコードを書いて自分でサービスも運営して会社の株も持ってるというのが最強。Web系ベンチャーではそれがある。給与とかそういう待遇とか超越したリターンが得られる。

Web 系のツラミ

実は新規サービスをどんどん作れるわけではない

イケてるWeb系事業ほど「長いこと古い仕組みを育て続ける」必要がある。Yahoo!はずっとYahoo!だし、zozotown はずっとzozotownだ。ゼロから作る機会などほとんどない。「サービス名考えると同時にドメインのアキも探さないとなぁ」なんてことが ほとんどない。

Web系だから新規のサービスを作れるかというとそうではなく、やっぱり「金を稼いでいるサービスの育成」に当たる方が合理的だ。

本当に新しいことを覚え続けないと死ぬ

iOSやAndroidの新しい作りを知っておかないとサービスのアップデートさえできない。どんどんOSのバージョンも変わる。つらい。

待遇がよいわけではない

SIerは「お金を持ってるけど技術がない会社に技術を売る」という商売だが、Web系の場合は技術があるのは当たり前で、その上でサービスが金を稼いで初めて組織に金が入ってくる。これは結構ドキドキもので、この世には金を稼がないWebサービスが山程ある。ここ数年のAppStoreのランキングを見れば分かる。LINE、ツムツム、グラブル、FGO、モンスト、パズドラ、この辺が全然落ちない。しかし、めちゃくちゃスマホ向けにはアプリはリリースされてるの。でも誰の目にも止まらず、消えていってるの。めちゃくちゃ技術的にはすごい人が作っていても、ランキングに入らないの。その場合は会社ごと消える。

反対にSIerに目を向けてみると、あのマイナンバーの仕組みでも100億を超える入札単価だ。 tech.nikkeibp.co.jp

SIerがしぶしぶやって100億。それをアプリで作るのはかなり厳しい。ただスマホゲームで当てると年間1000億くらい売り上げるからそれくらいの夢があるとも言える。ただほんの一部だ。

割とあっさり追い越される

SIerだと存在した経験値の差によるマウンティングが通用しない。この道10年のSwiftエンジニアは居ない。この道5年のVueエンジニアは居ない。定期的にゲームがリセットされるので、アドバンテージがすぐに消える。勢いのある若手と張り合い続けるのがまぁ大変。特にフロントエンドは移り変わりが激しい。