山本ゆうごブログ

山本ゆうごの仕事メモ

人工知能が人間の代替である限り普及が厳しいという話

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この記事のサマリーがこれ

  • がんの早期発見に貢献するAI医療機器が普及しない
  • 病院にもうけが乏しく仕事を奪われる危機感も背景
  • 富士フイルムやオリンパスなど日本企業の強み生かせ

実際にAIに絡む仕事をしているとこの壁は感じる。新聞なので無理やり抵抗勢力が技術を潰しているかのようなメッセージになってるけど、フラットにみると普及しない理由もわかる。

一つ一つポイントをつぶす

がんの早期発見に貢献するAI医療機器が普及しない

価値が「早期発見」というところが辛い。早期発見は人にとっては価値だろうけど、商品として「早期発見サービス」というものが存在しない。商品としては検査でしかない。発見してもしなくてもお金は同じ。ユーザーは寧ろ発見しない方が嬉しいケースだってある。

「患者を陽性と判定する「感度」が約10%改善したとの研究成果がある。」とされているが、10%だと人間が診断する時の医師のパフォーマンスの差に埋まっているようにもみえる。

病院にもうけが乏しく仕事を奪われる危機感も背景

病院にもうけが乏しいというだけで十分普及の阻害要因になる。お金が貰えないということは価値がないということ。ありがちなAIはX線写真から病気を判定するものだけど、面倒なのはX線とるところであって診察はプラスα。一日に100枚が限界だった写真判定が1000枚が可能になるとかなら、スケールメリットはでるが、それをするには病院のM&Aをやって売上は維持したまま医師の数を減らして意味がでる。そんなこと本気でする?って話。売上が変わらない中での投資メリットってコスト削減しかない。そのコストが医師の人件費なら、ずばり医師を減らしましょうという提案でしかない。記事の中で「危機感」とあるけど、逆に医師の解雇以外になにか効果があるの?はっきり言え。

日本企業の強み活かせ

富士フィルムやオリンパスの強みは「人が見れないものを見れる」という撮影技術にある。「人ができないことができる」のと「人ができることができる」のとでは価値が全然違う。強みを活かすのならAIはさっさと手を引いた方がいい。

そもそも医療サービスに期待されるのって治療。検査がメインじゃない。AIがそんなに賢いならさっさと新薬を開発すればいい。タンパク質組成のシミュレーションなどでAI(というかシミュレーション)が使われてるけど、そこにバンバン投資をすりゃぁいい。つーか製薬会社の研究員なんて大昔からデータサイエンス集団だ。データの束から予測することを生業としている。

人工知能が人間の代替であるという限り厳しい

人ができることの代替だと人件費削減しか価値がない。人ができないことをやってこそ。なんならAIがやってることを人力クラウドワーカーで代替した方が雇用創出に繋がるので、そっちの方が社会的価値があるかも。AIが大量に消費する電力よりもクラウドワーカーの方がエネルギー消費も少なくて精度も高いかも知れない。AIに仕事を奪われるのを怯えるだけじゃつまらない。